20.リーダーシップの「条件適合」
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第20問
リーダーシップ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア F. フィードラーの研究によると、状況好意性が極めて好ましい場合と極めて好ましくない場合は、人間関係志向型のリーダーの方がタスク志向型のリーダーよりも高業績をあげる傾向がある。
イ オハイオ研究によると、有効なリーダーシップの行動特性を表す「構造づくり」と「配慮」は互いにトレードオフの関係にあり、それらを両立させることは不可能である。
ウ サーバント・リーダーシップ理論によると、サーバント・リーダーシップの成立要件とは、リーダーが何を要求しているかにメンバーが常に注意を向け、リーダーに対して自己犠牲的な行動をメンバーがとることである。
エ パス・ゴール理論によると、リーダーがメンバーあるいは業務環境に欠けている要因を補完する行動をとった場合に、メンバーの業績と満足度は上昇する傾向がある。
オ リーダー・メンバー交換理論(LMX 理論)によると、リーダーと個々のメンバーとの間で結ばれる個別の交換関係の質ではなく、リーダーとメンバー集団全体との間で結ばれる包括的な交換関係の質が、メンバーの態度や行動に影響を与えるとされる。
この問題を解くカギは、「どんな時でも正しいリーダーシップ」はないという条件適合理論の視点です。
- フィードラーの条件適合理論: 状況が「すごく良い」か「すごく悪い」時はタスク指向(仕事優先)が強く、中間の時は人間関係指向が強いリーダーが高い業績を上げます。
- オハイオ研究: リーダーの行動を「構造づくり(タスク)」と「配慮(人間関係)」の2軸で捉えました。これらは独立しており、両立可能です。
- パス・ゴール理論: リーダーの役割は、部下が目標(ゴール)にたどり着くための道筋(パス)を整え、足りないものを補完すること。
- サーバント・リーダーシップ: リーダーはまず部下に「奉仕(サービス)」し、部下の成長を支えることで組織を導くという考え方。部下の自己犠牲を強いるものではありません。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、各理論の「結論」や「前提」を正確に捉えているかを確認するゲームです。
- ア:フィードラーによれば、状況が極めて好ましい/好ましくない場合は、人間関係指向型の方が〜。
- ❌ 間違い: 逆です。状況が両極端な場合は、**「タスク指向型」**の方が高い業績を上げます。人間関係指向は「状況が中程度」の時に輝きます。
- イ:オハイオ研究によれば、「構造づくり」と「配慮」はトレードオフであり、両立は不可能である。
- ❌ 間違い: オハイオ研究の画期的な点は、これらを独立した2軸として捉え、**「両立しうる」**としたことです。
- ウ:サーバント・リーダーシップの成立要件とは、リーダーに対して自己犠牲的な行動をメンバーがとることである。
- ❌ 間違い: コンセプトが真逆です。リーダーが部下に奉仕するのがサーバント(奉仕者)としてのリーダーシップです。
- エ:パス・ゴール理論によれば、リーダーがメンバーあるいは業務環境に欠けている要因を補完する行動をとった場合に、メンバーの業績と満足度は上昇する傾向がある。
- ✅ 正解: 完璧です。「道にある障害物を取り除き、足りないサポートを補う」という理論の核心を突いています。
- オ:LMX理論(リーダー・メンバー交換理論)によれば、〜グループ全体との間で結ばれる包括的な交換関係の質が〜。
- ❌ 間違い: LMX理論のポイントは、全体ではなく**「リーダーと個々のメンバーとの1対1の(個別的な)関係性」**に注目する点です。
📝 「一言まとめ」
「リーダーシップは『足りないパズルを埋める作業』。 パス・ゴール理論が教えるのは、部下が困っている『穴』を見つけ、そこをそっと埋めてあげるリーダーこそが最強だということです。」
診断士試験では、アのように「両極端な状況での適合タイプ」を入れ替えたり、イのように「両立可能か不可能か」を問うたりするパターンが非常に多いです。理論の名前だけでなく、「結局、どうすればいいと言っているのか?」という結論をセットで覚えましょう。
