11.リーン・スタートアップの3本柱
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第11問
E. リースが提唱したリーン・スタートアップに関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア リーン・スタートアップでは、アーリー・アダプターと呼ばれる流行に敏感かつ自ら情報収集をするような顧客層を巻き込むことが推奨される。
イ リーン・スタートアップでは、戦略転換(ピボット)をする最適なタイミングを特定化する手法が提示され、それを使用することが推奨される。
ウ リーン・スタートアップでは、想定された顧客が必要とする新規製品・サービスについて仮説を立て、それをもとにコストをかけずに作った実用最小限の製品・サービスを顧客に使ってもらい、顧客の反応を計測することが推奨される。
エ リーン・スタートアップは、新規性が非常に高く、顧客が存在するのかどうかも分からないような製品・サービスに適しており、幅広い産業に応用できる。
オ リーン・スタートアップは、トヨタ生産方式から影響を受けた考え方である。
エリック・リースが提唱したこの手法を解くカギは、**「無駄を削ぎ落とした実験サイクル」**です。
- 構築・計測・学習: 完璧を目指さず、まずは作って、顧客の反応を測り、そこから学ぶというループを高速で回すこと。
- MVP (Minimum Viable Product): 顧客に価値を提供できる「実用最小限の製品」。豪華な完成品を作る前に、これで仮説を検証します。
- ピボット (Pivot): 検証の結果、今の路線が違うと分かったら、ビジョンは変えずに「戦略の軸」を大胆に転換すること。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は**「最も不適切なもの」**を選ぶ、いわゆる「間違い探し」です。リーン・スタートアップの「泥臭く実験する」という本質からズレているものを探します。
- ア:アーリー・アダプター(流行に敏感な層)を巻き込む。
- ⭕️ 適切: 最初のファンであり、未完成な製品でもフィードバックをくれる彼らは、初期検証の最高のパートナーです。
- イ:戦略転換(ピボット)をする最適なタイミングを特定する手法が提示されている。
- ❌ 不適切(正解): ここが「最高に気の利いた」ポイント。実は、ピボットすべき**「最適なタイミング」を自動で教えてくれる魔法の手法は存在しません**。最後は経営者の「直感と検証結果の突き合わせ」による判断に委ねられます。「手法がある」という言い切りは、この理論の限界を無視した誤りです。
- ウ:コストをかけずに作った実用最小限の製品(MVP)を顧客に使ってもらう。
- ⭕️ 適切: これこそがリーン(無駄がない)の本質。大金を失う前に、小さく試します。
- エ:新規性が高く、顧客が存在するかも分からない製品に適している。
- ⭕️ 適切: 計画が立てられないほどの不確実な状況こそ、この手法が最も輝く場面です。
- オ:トヨタ生産方式から影響を受けた考え方である。
- ⭕️ 適切: 名前の通り「リーン(痩せた=無駄のない)」生産方式の概念を、製品開発に応用したものです。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「リーン・スタートアップは『小さく転んで、早く起き上がる』ための知恵。 ただし、いつ転ぶべきか(ピボットのタイミング)を教えてくれる予言の書ではない。」
診断士試験では「〜を特定する手法がある」「〜を完璧に予測できる」といった万能感を漂わせる選択肢は、高確率で「不適切」な罠です。理論の限界(最後は人間が判断する)を理解しているかが問われています。
