32-2.リソースと市場のバランス
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第32問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
企業は有望な機会を特定したり、自社が直面している問題を把握したりする目的で、環境分析を行っている。企業による環境分析は、自社を取り巻く外部環境の分析と自社の経営資源に関わる②内部環境の分析に分けられる。
(設問 2 )
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 3 C 分析は、市場分析、競合他社分析、自社分析で構成される。このうち、自社分析では、自社の顧客のトレンドや潜在性といった動向を分析することが目的であるため、個別顧客のニーズや行動までは分析対象にならない。
イ KFS(Key Factor for Success)は、自社の将来的な目標と現状との間のギャップの明確化や自社の成長において獲得すべき経営資源の明確化において指針となる概念である。
ウ マーケティング・マイオピアを回避するためには、市場や顧客ニーズの変化を的確に捉えることよりも、自社の製品や技術の優位性を経営資源の観点から的確に捉えることが重要である。
エ リソース・ベースト・ビューでは、企業はまず市場でのポジションを決め、それに必要な企業内の資源を構築するという順序で事業戦略を策定する。
この問題を解くカギは、企業が「持っているもの(資源)」と「市場のニーズ」をどう結びつけるかという視点の整理です。
- 3C分析: 顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点で分析します。「自社分析」では、自社の強みだけでなく、顧客に提供できる価値を深掘りします。
- KFS (Key Factor for Success): 「主要成功要因」。その業界で勝ち抜くために何が最も重要か(例:コンビニなら立地、ネット通販なら配送スピードなど)を特定する概念です。
- マーケティング・マイオピア(近視眼): セオドア・レビットが提唱。「ドリルを買いに来た客が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」という言葉通り、製品そのものに執着しすぎて、顧客の真のニーズを見失うことを指します。
- リソース・ベースド・ビュー (RBV): 外部環境(ポジション)よりも、自社固有の**経営資源(VRIOなど)**こそが持続的な競争優位の源泉であると考える理論です。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、理論の「順序」や「定義の誤解」を見抜くゲームです。
- ア:3C分析の自社分析では、〜個別顧客のニーズや行動までは分析対象にならない。
- ❌ 間違い: 顧客満足を最大化するのがマーケティングの目的ですから、自社分析においても「自社がどう個別顧客のニーズに応えられているか」は極めて重要な分析対象です。
- イ:KFS(Key Factor for Success)は、自社の将来的な目標と現状との間のギャップの明確化や〜指針となる概念である。
- ✅ 正解: その通り。業界で勝つための条件(KFS)が分かれば、今の自社に足りないもの(ギャップ)や、これから獲得すべき資源が明確になります。
- ウ:マーケティング・マイオピアを回避するためには、〜自社の製品や技術の優位性を経営資源の観点から的確に捉えることが重要である。
- ❌ 間違い: ここが「超・気の利きどころ」。製品や技術の優位性に固執することこそが、マイオピア(近視眼)の典型例です。回避するには、製品ではなく**「顧客のニーズ(便益)」**を広く捉える必要があります。
- エ:リソース・ベースド・ビューでは、企業はまず市場でのポジションを決め、それに必要な〜資源を構築するという順序で〜。
- ❌ 間違い: 順序が逆です。「まずポジションを決める」のはマイケル・ポーターのポジショニング・ビューです。RBVは、**「まず自社の資源(強み)を見極め、それを活かせる戦場を選ぶ」**という順序をとります。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「マーケティング・マイオピア(近視眼)は、『製品』しか見えない病気。 リソース・ベースド・ビュー(RBV)は、『自分磨き』から始める戦略。」
診断士試験では、ウのように「専門用語を使いつつ、結論が真逆」な選択肢が頻出です。用語の意味を表面的な字面だけでなく、「結局、何を戒めているのか(例:製品への固執はダメ)」という本質で捉えることが、正解への確実なルートです。
