35.現代の消費キーワード
第35問
消費行動におけるさまざまな現象に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 顕示的消費には、SNS 映えする料理の写真を投稿したり、動画で自分の趣味のよさを公開したりする行為や、裕福な家庭における親が子供に高級品を身に着けさせる行為が含まれる。
イ 現代の消費スタイルを包括的に記述する概念であるリキッド消費は、永続的で、所有ベースで、物質主義的な消費スタイルである。
ウ 消費者情報処理の枠組みにおける快楽消費の評価基準には、感覚的な満足や空想、美的な楽しみ、感情的反応だけでなく、合理的判断や思考などの功利も含まれる。
エ 消費の文化的意味や消費経験のダイナミックな側面を解明する消費文化理論の研究では、参与観察、デプス・インタビューなどを用いた定性的アプローチがとられており、定量的アプローチはとられていない。
この問題を解くカギは、消費が「モノの所有」から「意味や経験の共有」へとシフトしている流れを理解することです。
- 顕示的消費(Veblen Effect):
- 本来は、自分の富や地位を周囲に自慢するために高価なものを買う行為を指します。
- 現代では、SNSでの「映え」を狙った投稿や、子供に高級品を着せる「代理的顕示」なども、この概念の拡張として捉えられます。
- リキッド消費(Liquid Consumption):
- 「所有」にこだわらず、シェアリング、サブスク、レンタルなどを活用する、流動的で形のない消費スタイルのこと。
- 永続的ではなく「一時的」、所有ではなく「アクセス」がキーワードです。
- 快楽消費(Hedonic Consumption):
- 役に立つかどうか(功利性)ではなく、楽しさ、ワクワク、空想、感覚的な満足といった「主観的な体験」を目的とする消費です。
- 消費文化理論(CCT):
- 消費を単なる情報処理ではなく、文化的な意味を持つ活動として研究する分野。
- 定性的なアプローチ(インタビュー等)が中心ですが、必要に応じて定量的なデータも組み合わせて分析します。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、用語の「中身」と「性質」が一致しているかを判定するゲームです。
- ア:顕示的消費には、SNS 映えする料理の写真を投稿したり、〜裕福な家庭における親が子供に高級品を身に着けさせる行為が含まれる。
- ✅ 正解: その通り。自分の価値を他者に誇示する行為全般を指します。特に後者はヴェブレンが指摘した「代理的顕示」の典型例です。
- イ:〜リキッド消費は、永続的で、所有ベースで、物質主義的な消費スタイルである。
- ❌ 間違い: 正反対です。リキッド(液体)という名の通り、**「一時的」「アクセスベース(非所有)」「脱物質的」**なのが特徴です。
- ウ:〜快楽消費の評価基準には、〜合理的判断や思考などの功利も含まれる。
- ❌ 間違い: 快楽消費は、合理的・機能的な「功利」とは対極にある概念です。楽しさや感情こそが主目的です。
- エ:〜消費文化理論の研究では、〜定量的なアプローチはとられていない。
- ❌ 間違い: 「〜はとられていない」という断定はバツ。定性的アプローチが主流ではありますが、現代の研究ではビッグデータ分析などの定量的手法も併用されるのが一般的です。
📝 「一言まとめ」
「顕示的消費は、令和の『ドヤ顔』。 リキッド消費は、所有を捨てて軽やかに生きる『身軽な』スタイル。」
診断士試験では、イのように「用語のイメージと真逆の定義」をぶつけてくるパターンが頻出です。「リキッド(液体)=形がない、留まらない」と連想できれば、所有ベースという記述に違和感を持てるはずです。
