37.ブランドを「借りる」戦略とリスク
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第37問
ブランディングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア COO(Country of Origin)イメージは、製品に対する消費者の選好に影響を及ぼし、時間を経ても変化することはない。
イ コ・ブランディングは、コミュニケーション・コストを削減できるが、ブランド・エクイティが希釈化するリスクがあるため、新製品には適用できない。
ウ 第三者ソース(専門誌、専門機関、知名度が高い評論家、ステータスがあるユーザーなど)による高評価は、ブランドに対する高い信頼性を付与し、消費者の態度を向上させるが、ソーシャルネットワーク上での影響力は極めて小さい。
エ 著名人による推奨は、当該著名人のイメージと結びつく知覚は形成されるが、ブランドが思い出されないリスクがあり、ファン以外の注意はひきつけられない。
オ ライセンス供与は、在庫費用や製造費用をかけずにブランド認知を増やすことができるが、過剰露出になった場合、消費者の飽きが生じるリスクがある。
この問題を解くカギは、ブランドが他者のイメージを借りて成長する際の「副作用」を理解することです。
- ライセンス供与(ブランド・ライセンシング):
- ブランド名を他社に貸し出して製品を作らせること。自社で工場や在庫を持つリスクなしに、ブランドの認知度を高め、ロイヤリティ収入を得られます。
- コ・ブランディング:
- 異なる2つ以上のブランドを組み合わせて新製品を出すこと。お互いの顧客層を共有し、広告コストを抑えられますが、ブランドの独自性が薄まる(希釈化)リスクもあります。
- COO (Country of Origin) イメージ:
- 「ドイツ車=頑丈」「フランス料理=高級」といった、原産国に対する先入観のこと。時代の変化やその国の産業発展によって、このイメージは変化します。
- エビデンスとしての「第三者ソース」:
- 専門誌の評価や著名人の推奨。これらはSNSなどのデジタル空間でも、信頼性を裏付ける強力な情報として拡散されます。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、ブランディングの各手法が持つ「メリットとリスク」の記述が、現実的かつ論理的であるかを判定するゲームです。
- ア:COO(Country of Origin)イメージは、〜時間を経ても変化することはない。
- ❌ 間違い: 前述の通り、イメージは変化します(例:かつての「安かろう悪かろう」だった日本製品が、今では「高品質」の代名詞になった歴史など)。
- イ:コ・ブランディングは、〜新製品には適用できない。
- ❌ 間違い: むしろ新製品の発売時こそ、知名度のあるブランド同士が組むことで注目度を高め、信頼を構築するために頻繁に活用されます。
- ウ:第三者ソース〜による高評価は、〜ソーシャルネットワーク上での影響力は極めて小さい。
- ❌ 間違い: 現代において、専門家やステータスあるユーザーの評価はSNS上で「拡散(バイラル)」され、極めて大きな影響力を持ちます。
- エ:著名人による推奨は、〜ファン以外の注意はひきつけられない。
- ❌ 間違い: 著名人を起用する最大の目的の一つは、既存のファン層を超えて、これまで製品を知らなかった幅広い層の「注意」を惹きつけることにあります。
- オ:ライセンス供与は、在庫費用や製造費用をかけずにブランド認知を増やすことができるが、過剰露出になった場合、消費者の飽きが生じるリスクがある。
- ✅ 正解: 完璧な記述です。自社投資なしで展開できるという「メリット」と、名前が安売り(コモディティ化)されて飽きられるという「リスク」を正確に説明しています。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「ブランド戦略は『虎の威を借る』か『名前を貸す』かのバランス。 ライセンス供与はノーリスクで稼げる魔法の杖に見えますが、振り回しすぎるとブランドの魔法が解けて(飽きられて)しまいます。」
診断士試験では、アのように「変化しない」や、エのように「〜できない」といった極端な否定表現は、マーケティングのような流動的な分野ではまず間違いです。オのように、手法の「功と罪」を両面から語っている選択肢は信頼度が高いです。
