16.シャインの組織文化論
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第16問
E. シャインが提唱した組織文化論に関する記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
a 「組織文化の 3 層モデル」において、価値観は、組織文化の最も深層に位置し、長年にわたってほとんど変化することなく組織の行動や意思決定を無意識のうち
に方向づける。
b 組織文化には、経営理念や経営戦略の策定・実行を通じて環境への外的適応を図る機能と、組織内の価値観や行動規範を共有して内的統合を促進する機能があ
る。
c 組織文化変革のプロセスでは、まず人々が現状の問題を認識し、心理的安全性を確保しながら新しい学習を行い、その後、新しい価値観を内面化することで変
革が定着する。
d 組織文化は、自らの経験を通じてしか身につけることができず、明示的な教育やトレーニングでは文化を伝えることはできない。
〔解答群〕
ア aとb
イ aとc
ウ bとc
エ bとd
オ cとd
この問題を解くカギは、文化が「どれくらい深く、どんな役割を持っているか」を理解することです。
- 3層モデル(氷山モデル): 文化は深さによって3層に分かれます。
- 人工物: 目に見えるもの(服装、社屋、行動様式)。
- 標榜された価値: 言葉にされたもの(経営理念、スローガン)。
- 基本的仮定: 最深層にある、当たり前すぎて意識もされない共通認識。これが行動の根本を規定します。
- 2つの機能:
- 外的適応: 環境変化に合わせて、組織がどう生き残るかという戦略的な機能。
- 内的統合: メンバー間の価値観を一つにし、組織としてまとまる機能。
- 変革のプロセス: 既存の文化を捨てるのは怖いため、「心理的安全」を確保しながら、古い価値観を壊し(解凍)、新しいものを学び(移動)、定着させる(再凍結)プロセスが必要です。
🎯 各記述の判定(正誤チェック)
- a:価値観は、組織文化の最も深層に位置し、〜無意識のうちに方向づける。
- ❌ 不適切: 最も深層に位置するのは「価値観(標榜された価値)」ではなく、**「基本的仮定」**です。価値観はその一歩手前の第2層です。
- b:組織文化には、〜環境への外的適応を図る機能と、〜内的統合を促進する機能がある。
- ✅ 適切: シャインが定義した組織文化の2大機能そのものです。
- c:組織文化変革のプロセスでは、〜心理的安全性を確保しながら新しい学習を行い、〜
- ✅ 適切: 文化を変える際の抵抗を減らすために「心理的安全」は不可欠であると説いています。
- d:組織文化は、〜明示的な教育やトレーニングでは文化を伝えることはできない。
- ❌ 不適切: 文化は自らの経験だけでなく、教育やリーダーの振る舞いを通じて伝達(社会化)することが可能です。「できない」と断定するのは誤りです。
🏆 解答の導き出し
適切な記述は b と c です。
したがって、解答群の中から正しい組み合わせを選ぶと: ウ:bとc が正解となります。
📝 「一言まとめ」
「組織文化は『玉ねぎ』のようなもの。皮(人工物)や実(価値観)よりも、芯にある『基本的仮定』こそが、無意識に人を動かす正体です。」
診断士試験では、aのように「価値観」と「基本的仮定」を入れ替える引っかけが頻出です。「一番深いのは、言葉にもならない『当たり前(仮定)』のこと」と覚えておけば、この手の問題は確実に得点できます。
