21.資源依存パースペクティブ
第21問
組み立てメーカーA社は、製品Xのみを開発・製造・販売している。A社は、製品Xの製造に不可欠な部品Yを自社では製造できず、部品サプライヤーB社からしか調達できない。一方、B社は部品YをA社以外の複数のメーカーにも供給している。
このとき、資源依存パースペクティブの考え方に従った記述として、最も適切なものはどれか。
ア A社が製品Xの品質を向上させれば、B社からの供給リスクを低減できる。
イ A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは強い。
ウ A社は部品Yの在庫を増やすことで、B社への依存を解消できる。
エ A社は部品Yを使用しない新製品を開発することで、B社への依存度を低減できる。
オ B社が部品Yの供給先を増やすと、A社のB社への依存度は低減する。
この理論を解くカギは、組織を**「自立しようとあがく生存者」**と捉えることです。
- パワーの源泉: 相手が持っている「代替できない貴重な資源」に依存するほど、自分のパワーは弱まり、相手のパワーが強くなります。
- 依存を減らす戦略:
- 資源の代替: その資源を使わないようにする、あるいは他から手に入れる。
- 重要性の低減: その資源への依存度を下げるような新製品を開発する。
- 相手の取り込み: 合併(M&A)や役員の派遣などで、供給元をコントロール下におく。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
問題文の状況は、「A社はB社からしか部品Yを買えず、B社には他にたくさん客がいる」という、**A社がB社に完全に握られている(パワーが弱い)**状態です。
- ア:A社が製品Xの品質を向上させれば、B社からの供給リスクを低減できる。
- ❌ 間違い: 品質を上げても、部品Yが必要なことには変わりません。むしろ品質向上で売れれば売れるほど、部品Yを握るB社への依存は深まります。
- イ:A社はB社に対する資源依存度が高いため、A社のB社に対する相対的なパワーは強い。
- ❌ 間違い: 依存度が高い方が、パワーは**「弱く」**なります。主従関係を読み違えないようにしましょう。
- ウ:A社は部品Yの在庫を増やすことで、B社への依存を解消できる。
- ❌ 間違い: 在庫増は一時的な「しのぎ」にはなりますが、根本的な「依存の解消」にはなりません。在庫が尽きればまたB社にお願いするしかありません。
- エ:A社は部品Yを使用しない新製品を開発することで、B社への依存度を低減できる。
- ✅ 正解: これぞ資源依存理論の王道戦略です。「部品Y(B社)がなくても商売ができる状態」を作ることで、相手の支配力を削ぎ落とすことができます。
- オ:B社が部品Yの供給先を増やすと、A社のB社への依存度は低減する。
- ❌ 間違い: 逆です。B社にとってA社が「数ある客の一人」になればなるほど、B社の立場はより強くなり、A社の依存(立場)は相対的に悪化します。
📝 「一言まとめ」
「依存は弱さ、自立は強さ。 相手に握られている『弱み(資源)』を使わない工夫をすることが、組織の自由を取り戻す最強の戦略です。」
資源依存パースペクティブの問題が出たら、「どちらが相手を必要としているか」というパワーバランスの天秤をイメージしてください。エのように「依存の源を断つ」選択肢は、理論的に常に正攻法となります。
