25.ストレスチェックの鉄則
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第25問
労働安全衛生法第 66 条の 10 に規定する「心理的な負担の程度を把握するための検査」(ストレスチェック)および厚生労働省の指針に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、本問における厚生労働省の指針とは、「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」を指す。
ア 事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対し、当該検査を行った医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。
イ 就業規則においてストレスチェックの受検を義務付けている事業場においては、事業者は、ストレスチェックを受けることを拒否した労働者に対して、拒否したことを理由として懲戒処分を行うことができる。
ウ ストレスチェック制度は、特にメンタルヘルス不調を早期に発見し適切な対応を行うことを主たる目的として、定期的に労働者のストレス状況について検査を行うものである。
エ ストレスチェックの結果通知を受け、心理的な負担の程度が厚生労働省令で定める要件に該当する労働者が、保健師による面接指導を受けることを希望する旨の申出をしたときは、事業者は、保健師による面接指導を行わなければならない。
この制度を解くカギは、**「プライバシーの保護」と「不利益な扱いの禁止」**という、労働者を守るための徹底した姿勢を理解することです。
- 目的: メンタルヘルス不調の「未然防止(一次予防)」が主眼です。
- 通知のルート: 結果は医師等から直接本人に通知されます。本人の同意がない限り、結果が会社に筒抜けになることはありません。
- 受検の義務: 会社には「実施」の義務がありますが、労働者には「受検」の義務はありません(努力義務)。受けないからといって罰することはできません。
- 面接指導: 高ストレス者と判定され、本人が希望した場合は医師による面接指導を行う義務があります。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、制度の「主体(誰がやるか)」と「強制力の範囲」を正しく見分けるゲームです。
- ア:事業者は、医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。
- ❌ 間違い: 前述の通り、結果はまず「本人」に通知されます。事業者が結果を知るには、本人の明示的な同意が必要です。
- イ:〜受検を拒否した労働者に対して、懲戒処分を行うことができる。
- ❌ 間違い: ストレスチェックの受検は労働者の自由です。受検拒否を理由とした不利益な取り扱い(懲戒など)は厳禁です。
- ウ:メンタルヘルス不調を早期に発見し適切な対応を行うことを主たる目的として、〜。
- ✅ 正解: その通り。自分のストレス状況を把握してもらい、必要に応じて医師の指導につなげることで、うつ病などの未然防止を図るのがこの制度の「主たる目的」です。
- エ:〜保健師による面接指導を受けたいと申し出たときは、事業者は、保健師による面接指導を行わなければならない。
- ❌ 間違い: ここが「気の利きどころ」。本人の申し出に基づく面接指導を行うのは**「医師」**でなければなりません。保健師や公認心理師では代行できません。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「ストレスチェックは『心の健康診断』。 結果は本人だけの秘密が原則。会社は『受けろ』と強制できないし、面接の担当は『医師』限定です。」
選択肢エの「保健師」へのすり替えは、専門職の役割を混同させる診断士試験の定番ひっかけです。「重大な判断(面接指導)は、お医者さんの仕事」と覚えておけば、迷わず消去できます。
