27.1年単位の変形労働時間制の「数字」
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第27問
労働基準法第 32 条の 4( 1 年単位の変形労働時間制)に関する記述として、最も適切なものはどれか。なお、積雪地域の建設業の屋外労働者および隔日勤務のタクシー運転手のケースは考慮しないものとする。
ア 1 年単位の変形労働時間制により労働させる労働者(対象労働者)の範囲は、労使協定で明確にしなければならない。対象期間の途中に採用した者に対しては、当該対象期間の途中から対象労働者の範囲に含めることはできないため、当該対象期間の途中から 1 年単位の変形労働時間制を適用させることはできない。
イ 1 年単位の変形労働時間制による 1 日の労働時間の限度は 10 時間、 1 週間の労働時間の限度は 52 時間である。さらに、例えば対象期間を 1 年と定めた場合、労働時間が 48 時間を超える週が連続 3 週以下であり、かつ、対象期間をその初日から 3 カ月ごとに区分した各期間において労働時間が 48 時間を超える週の初日が 3 回以下でなければならない。
ウ 1 年単位の変形労働時間制の対象期間内の全期間にわたって、各日、各週の所定労働時間を定めなければならないが、対象期間を 1 カ月以上の期間に区分することとした場合には、最初の期間における労働日及び最初の期間における労働日ごとの労働時間を定めておくことで、あらかじめ全期間にわたって定めておく必要がなくなる。
エ 1 年単位の変形労働時間制の対象期間は、その期間を平均して 1 週間当たりの労働時間が 40 時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、 3 カ月を超え 1 年以内の期間に限ることとされている。
この制度を解くカギは、忙しい時期に長く働き、暇な時期に短く働くことで「トータルの労働時間を平均化する」という仕組みの**制限(上限値)**を覚えることです。
- 対象期間: 1ヶ月を超え1年以内。
- 労働時間の上限: 1日10時間、1週52時間まで。
- 連続勤務の上限: 原則6日まで(特定期間は週1日の休日があればOK)。
- 労働日数の上限: 対象期間が1年の場合、280日以内。
- 途中採用・退職者: 年度途中から入った人にも適用可能です(期間を平均して精算します)。
- 区分設定: 最初から全てのシフトを決められない場合、対象期間を「1ヶ月以上」の期間ごとに区切り、最初の期間以外の労働日数は「30日前」までに特定すればOKです。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、細かな数字やルールの「すり替え」を見破るゲームです。
- ア:〜対象期間の途中に採用した者に対しては、〜適用させることはできない。
- ❌ 間違い: 途中採用者や中途退職者にも適用できます。その場合、その人が働いた期間を平均して、週40時間を超えた分を割増賃金で精算します。
- イ:〜1日の労働時間の限度は10時間、1週の労働時間の限度は52時間である。〜。
- ✅ 正解: 前半の「1日10時間・1週52時間」という数字は法律上の上限そのものです。後半の複雑な記述(48時間超えの週の連続制限など)も、1年単位の変形労働時間制における具体的な運用ルール(労働基準法施行規則)に合致しています。
- ウ:〜あらかじめ全期間にわたって定めておく必要がなくなる。
- ❌ 間違い: 区分設定を行う場合でも、**「各日・各週の労働時間」**はあらかじめ決めておく必要があります。「定める必要がなくなる」わけではなく、「直前に決めても良い期間ができる」というだけです。
- エ:〜3カ月を超え1年以内の期間に限ることとされている。
- ❌ 間違い: 対象期間は**「1ヶ月を超え」**1年以内です。「3カ月を超え」は、この制度の中にある特定の制限(1年で280日など)が適用される条件の一部と混同させる引っかけです。
📝 「一言まとめ」
「1年単位の変形制は『10時間・52時間・280日』という数字が守り神。 途中採用もOK、シフト作成は1ヶ月ごとに区切ってもOK。数字のひっかけにさえ気をつければ怖くありません。」
労働法規の問題は、アやエのように「〜できない」「〜に限る」という極端な限定や、数字の微妙な違い(1ヶ月か3ヶ月か)を突いてきます。最も複雑に見えるイが、実は「条文そのもの」で正解であるというパターンも多いです。
