34.需要管理とトレンドの正体

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)

企業経営理論

第34問
 製品の需要に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 環境やエネルギー保全などの公共的テーマと結びつけたデ・マーケティングは、対象市場の需要を抑制するため、そこから新たな代替市場を生み出す可能性につながる。
イ 健康や美容を意識する風潮が健康食品カテゴリーの需要を持続させている状態のように、ある方向性や連続性を保ちながら一定期間、需要が長続きする状態のことをファッドと呼ぶ。
ウ 市場において優れた競争優位と成果をもたらしている企業の多くが顧客志向であり、需要創造において最も有効なマーケティング・コンセプトである。
エ 数量限定や地域限定のプロモーションは希少性の知覚を通して製品需要を増加させるが、時間限定のプロモーションにはその効果がない。
オ 頻繁に新たなデザインを導入することで、旧デザインの魅力度を低下させ、消費者の買い替え需要を促そうとする計画的陳腐化は、SDGs の観点から、望ましいマーケティング手法である。


この問題を解くカギは、マーケティングが単に「売る」だけでなく、あえて「抑制」したり「流行を定義」したりする多面的な活動であることを理解することです。

  1. デ・マーケティング: 需要が供給能力を超えた時や、特定の不適切な顧客層を排除したい時に、あえて需要を減らすための活動。環境保護などの公共的テーマと結びつくこともあります。
  2. ファッド (Fad) vs トレンド (Trend):
    • ファッド: 一時的な熱狂。短期間で急激に普及し、すぐに消え去る(例:タピオカ、一発ギャグ)。
    • トレンド: 長期的な傾向。社会構造や価値観の変化に基づき、一定期間持続する。
  3. 希少性の原理: 「数量限定」「期間限定」などの条件をつけることで、消費者に「今買わなければ」という心理的焦燥(希少性の知覚)を生ませ、需要を刺激する手法。
  4. 計画的陳腐化: 製品を意図的に古く見せたり壊れやすくしたりして買い替えを促す手法。デザイン変更による「心理的陳腐化」などが含まれますが、現代の**SDGs(持続可能な開発目標)**の観点からは批判の対象となります。

🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)

この問題は、用語の「定義」と、現代の「社会常識(SDGsなど)」との整合性を判定するゲームです。

  • ア:環境やエネルギー保全などの公共的テーマと結びつけたデ・マーケティングは、〜新たな代替市場を生み出す可能性につながる。
    • 正解: その通り。例えば「ガソリン車の利用を控えよう」というデ・マーケティングは、同時に「電気自動車(EV)」という新たな代替市場を育てる契機となります。
  • イ:〜需要が長続きする状態のことをファッドと呼ぶ。
    • 間違い: 長続きするのは**「トレンド」**です。「ファッド」は一過性の流行を指します。
  • ウ:〜顧客志向であり、需要創造において最も有効なマーケティング・コンセプトである。
    • 間違い: ここが「超・気の利きどころ」。顧客志向は重要ですが、顧客自身も気づいていないニーズを掘り起こす「市場駆動型」や「社会志向」など、状況によって**「最も有効」なコンセプトは変わります**。一律に断定はできません。
  • エ:〜時間限定のプロモーションにはその効果がない。
    • 間違い: 「タイムセール」などの時間限定プロモーションも、強力な希少性の知覚を生み出し、需要を増加させる効果があります。
  • オ:〜計画的陳腐化は、SDGs の観点から、望ましいマーケティング手法である。
    • 間違い: 資源の浪費を強いる「計画的陳腐化」は、つくる責任・つかう責任を謳うSDGsの観点からは、**最も「望ましくない」**手法の一つです。

📝 「一言まとめ」

「デ・マーケティングは『引き算』の戦略。 あえて需要を抑えることで、環境を守ったり、次の新しい市場を創ったりする、大人のマーケティング術です。」

診断士試験では、イのように「ファッドとトレンド」を入れ替えたり、オのように「SDGsと真逆の古い手法(陳腐化)」を肯定したりする引っかけが定番です。最新の社会動向(SDGs)を意識するだけで、正解率はグッと上がります。

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