39.サービス成功の三角形

中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)

企業経営理論

第39問
 顧客と従業員に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア 顧客満足を起点とするサービス・プロフィット・チェーンは、高い顧客満足の実現が従業員のモチベーションとサービス品質を高め、結果として従業員満足と企業収益に影響するという流れである。
イ 従業員に対するエンパワーメントが高いほど、顧客ニーズへの対応が早く、また、業務改善へのアイデアが出やすくなるが、サービスの失敗が起こったときのリカバリーは遅くなる。
ウ 従業員満足が顧客満足に影響することは大いにあるが、顧客満足が従業員満足につながることはほとんどない。
エ 従業員を内部顧客ととらえ、自社の理念を従業員と共有し、高い意識とモチベーションを醸成すべく実施されるインターナル・マーケティングの目的には、外部顧客の満足を高めることが含まれる。


この問題を解くカギは、従業員へのケアが最終的に顧客の満足に繋がるという**「因果の流れ」**を正確に把握することです。

  1. サービス・プロフィット・チェーン (SPC):
    • 従業員満足(ES)を高めることで、サービスの質が向上し、それが顧客満足(CS)を生み、最終的に企業の利益(Profit)に繋がるという考え方。起点は**「従業員満足(内部サービス品質)」**です。
  2. エンパワーメント(権限移譲):
    • 現場の従業員に裁量を与えること。現場での即断即決が可能になるため、サービスの失敗が起こった際のリカバリーが迅速になります。
  3. インターナル・マーケティング:
    • 従業員を「内部顧客」と捉え、自社の理念や価値を共有する活動。従業員のモチベーションを高め、最終的に外部顧客(一般の顧客)へのサービス向上を目指します。

🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)

この問題は、因果関係の「順序」や「効果」の矛盾を見抜くゲームです。

  • ア:顧客満足を起点とするサービス・プロフィット・チェーンは、〜。
    • 間違い: SPCの起点は顧客満足ではなく、**「従業員満足(内部品質)」**です。従業員が満足して初めて、質の高いサービスが提供されます。
  • イ:従業員に対するエンパワーメントが高いほど、〜サービスの失敗が起こったときのリカバリーは遅くなる。
    • 間違い: 現場に権限があるからこそ、上司の許可を待たずにその場で謝罪や代替案の提示ができ、**リカバリーは「早く」**なります。
  • ウ:従業員満足が顧客満足に影響することは大いにあるが、顧客満足が従業員満足につながることはほとんどない。
    • 間違い: 顧客から感謝されたり喜ばれたりすることは、従業員のやりがい(満足度)に直結します。CSとESは双方向に影響し合う関係です。
  • エ:従業員を内部顧客ととらえ、〜実施されるインターナル・マーケティングの目的には、外部顧客の満足を高めることが含まれる。
    • 正解: その通りです。社内向けの活動であっても、その究極の目的は**「外部顧客をより満足させること」**にあります。

📝 サイト掲載用の「一言まとめ」

「幸せな従業員こそが、幸せな顧客をつくる。 インターナル・マーケティング(社内向け)のゴールは、常に外部の顧客にあります。因果の矢印を間違えないことが正解への近道です。」

診断士試験では、アのように「鶏が先か卵が先か(ESかCSか)」を入れ替える引っかけが頻出です。サービス業においては、まず内部(スタッフ)を整えることが戦略の第一歩であると覚えましょう。

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