04.ダイナミック・ケイパビリティ
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第 4 問
ダイナミック・ケイパビリティに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ダイナミック・ケイパビリティは、企業が外部環境への依存度を下げ、完全に独立した運営を実現する能力を指す。
イ ダイナミック・ケイパビリティは、既存の経営資源を活用することで、成熟期の安定的な市場環境で競争優位性を得る能力を指す。
ウ ダイナミック・ケイパビリティは、競合他社からの模倣によって追いつかれないように、業務プロセスの効率化を一層追求する能力を指す。
エ ダイナミック・ケイパビリティは、顧客に独自の価値を提供し、かつ競合他社からの模倣を防ぐことを可能にする、現在の市場において競争優位性を獲得する基盤となる中核的な能力を指す。
オ ダイナミック・ケイパビリティは、市場環境の変化を知覚し、新たなビジネス機会を活かし、必要時には既存の経営資源やプロセスを再構成する能力を指す。
この概念を解くための知識は、**「変化への適応力」**というキーワード一点突破でOKです。
- 通常のケイパビリティ(資源):今持っている武器(効率性や品質)。
- ダイナミック・ケイパビリティ(変革力):状況に合わせて、武器を作り替えたり、捨てたり、組み合わせたりする**「自己改造能力」**のこと。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、「静止した強さ(安定・効率)」か「動的な強さ(変化・再構成)」かを峻別するゲームです。
- ア:外部環境への依存度を下げ、完全に独立する
- ❌ 間違い:むしろ外部環境の変化を敏感に察知し、それに合わせる能力です。「独立独歩」を目指すものではありません。
- イ:成熟期の安定的な市場環境で〜
- ❌ 間違い:ダイナミック・ケイパビリティが真価を発揮するのは、変化の激しい「不安定な市場」です。安定期なら従来のVRIOだけで十分です。
- ウ:業務プロセスの効率化を一層追求する
- ❌ 間違い:効率化は「今のやり方」を磨くこと。ダイナミック・ケイパビリティは「今のやり方を変える」ことを指します。
- エ:現在の市場において競争優位を獲得する基盤となる中核的な能力(コア・コンピタンス)
- ❌ 間違い:これは一般的な「強み」の定義です。これだけでは「変化に対応して自己変革する」という動的な意味が含まれません。
- オ:市場環境の変化を知覚し、〜既存の経営資源やプロセスを再構成する
- ✅ 正解:完璧です。デビッド・ティースが提唱した「感知 (Sensing)」「捕捉 (Seizing)」「変革 (Transforming)」のプロセスそのものを説明しています。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「VRIOが『今の筋肉量』なら、ダイナミック・ケイパビリティは『環境に合わせた脱皮の速さ』である。」
選択肢の中に「変化」「再構成」「組み替え」といった言葉があれば、それが正解のサイン。今の強みにしがみつくのではなく、あえて「壊して作り直す」ニュアンスを選びましょう。
