08活動システム(Activity System)
中小企業診断士試験 令和7年度(2025年)
企業経営理論
第 8 問
M. ポーターによって提唱された「活動システム(activity system)」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア 活動システム全体の一貫性を確保し、活動間の相互作用を強化することで、活動システムの模倣困難性を高めることができる。
イ 活動システム全体を最適化するために、各活動の効率性を優先した設計を行う必要がある。
ウ 企業を類似した活動システムによってグループ化し、業界全体の競争状況を視覚的に把握するためのツールを活動システムマップという。
エ コスト優位を実現する活動システムに、差別化優位を実現する活動の一部を統合することで、低コスト化と差別化のトレードオフは解消される。
オ 戦略を曖昧にすることで、活動システムの柔軟性を高め、持続的な競争優位性を実現することができる。
ポーターが提唱したこの概念を解くカギは、**「パズルの完成度」**をイメージすることです。
- 一貫性と適合性:個々の活動(営業、製造、物流など)がバラバラではなく、同じ方向(例:徹底した低コスト)を向いていること。
- 相互補完(シナジー):活動Aがあるから活動Bがより活きる、というセット販売のような関係。
- 模倣困難性の源泉:競合他社は「一つのすごい技術」は真似できても、網の目のように組み合わさった**「活動の束(システム)」**を丸ごとコピーするのは不可能に近い。
🎯 「気の利いた」選択肢の捌き方(最短ロジック)
この問題は、**「全体の一貫性が模倣を難しくする」**という本質を突いているものを選び出すゲームです。
- ア:活動システム全体の一貫性を確保し、活動間の相互作用を強化することで、活動システムの模倣困難性を高めることができる。
- ✅ 正解:その通り。一つ一つの部品ではなく、その「組み合わせ(相互作用)」こそが最強の防御壁になります。
- イ:活動システム全体を最適化するために、各活動の効率性を優先した設計を行う必要がある。
- ❌ 間違い:ここが「気の利きどころ」です。個別の効率(部分最適)を優先すると、全体のバランス(全体最適)が崩れることがあります。重要なのは「効率」より「適合(フィット)」です。
- ウ:企業を類似した活動システムによってグループ化し、〜ツールを活動システムマップという。
- ❌ 間違い:それは「戦略グループ(戦略群)」の説明です。活動システムマップは、自社の活動がどう繋がっているかを図解するものです。
- エ:コスト優位を実現する〜差別化優位を〜統合することで、低コスト化と差別化のトレードオフは解消される。
- ❌ 間違い:ポーターは、これらを中途半端に混ぜると「どっちつかず(Stuck in the middle)」になり、失敗すると警告しています。安易な統合はトレードオフを悪化させます。
- オ:戦略を曖昧にすることで、活動システムの柔軟性を高め、〜
- ❌ 間違い:戦略を曖昧にしたら、一貫性は生まれません。活動システムは「明確な選択」から生まれる強固なものです。
📝 サイト掲載用の「一言まとめ」
「必殺技を真似するのは簡単だが、その技を支える日々のルーティン(仕組み)を丸ごと真似するのは不可能。」
企業経営理論において、「一貫性」「適合」「相互作用」という言葉が出てきたら、それは「真似されにくい強い状態」を指すポジティブなキーワードです。個別の「効率」という甘い言葉に騙されないようにしましょう。
